Flets光クロスでIX2207を使う
2021 年 4 月頃に光コラボ回線の事業者さんからフレッツ光クロスへ契約変更、変更に伴い NTT のホームゲートウェイ(以下 HGW)XG-100NE をレンタルし自宅のルータとして使ってきました。WAN/LAN 共に 10Gbps のインターフェイスでフレッツ光クロスの 10Gbps の通信速度を堪能できる HGW が月々 500 円でレンタルできる、そりゃ借りるでしょ。と言う事でレンタルして運用してきたものの、数日毎に再起動が発生してしまいテレワークする上でとても困っていました。故障交換をしていただいたけれど、結局事象も改善せずこりゃこまったね、と言うのが前回までのお話です。
光クロスから光ネクストへの回線変更
光クロスと光ネクストでは月額およそ 1,000 円の差額が発生します。HGW があまりにも再起動を繰り返すので用意した NEC UNIVERGE IX2207 と言うどちらかと言うと企業向けの安定したネットワーク機器を用いようとするとインターフェイスの最大速度は 1Gbps のため光クロスである必要がなく、光ネクストのギガラインタイプで問題ありません。月々 1,000 円安くなるのであれば光ネクストで良いわ、と回線種別変更について相談しました。
工事費用は最大 18,000 円
無派遣工事では完了せず必ず現地工事が発生し、費用は最大 18,000 円かかります、と言う事でした。実際には電線の電柱近くにある黒い箱、スプライスボックスから自宅の宅内配線はそのまま使う形になると思うのでそこまでの費用にはならなさそうではあるのですが、少なくともスプライスボックスの中の工事が必要ですし、そこの箇所を工事すると言う事は End to End の光疎通試験が必要になるので宅内工事が発生、最低でも半日が必要になります。そこから ISP による回線切替が走ったとしてほぼ丸 1 日の工事。概算ですがその場合およそ 8,000 円位になります。(光ケーブルの宅内引き込みがやはりお値段かかる)
このまま光クロスを使い続けるとなると 8 ヶ月で回収できてしまうのでちゃんと工事をしたほうが良いのですがこの師走の時期にそんな工事で 1 日取られてしまうのはちょっとしんどい、と言う事でこのタイミングでの回線種別変更は諦めることにしました。
MAP-E 配信の折衝
さて、回線種別変更は諦めるとして次のハードルは 10Gbps の契約回線に 1Gbps 対応の機器をつなぐと言うこと。
技術的観点から言えば ONU 側インターフェイスはたしかに最大 10Gbps 対応だけれどオートネゴシエーションされて 1Gbps で繋がります。 使えないわけではないので XG-100NE を取り外しそこへ IX2207 を接続するとスルッと IPv6 アドレスは DHCPv6-PD で JPNE から割り当てられて IPv6 通信は可能です。しかし IPoE の MAP-E については HGW レンタル契約があると HGW へ配信する設定となっており、フレッツ・コネクトで HGW へ配信される JPNE アプリケーション向けの設定が配信されます。
この JPNE アプリケーション向けの配信は市販の装置向け配信と異なるらしく(一緒にしてくれれば手間なくていいのに)、切り替えをお願いする事で手持ちの装置がフレッツ網(正確には JPNE 網)へ繋がるようになります。
ISP としては対応が謳われている製品でないと対応できない
ISP の Web サイトでフレッツ光ネクストの時には Web の契約者画面から宅内のルータ機器について何を使うか設定についてユーザーで変更が出来たのですが、変更画面がグレーアウトされていました。ここは ISP さんによって仕様が異なると思いますのでお使いの ISP 毎に異なると思います。私の契約する ISP では フレッツ光クロス契約の人は HGW 契約があるので HGW へ配信する設定で固定 みたいな感じになっている様でした。そこで問い合わせフォームからどうしたら良いか相談してみる事に。
相談してみた所変更自体は可能だが、10Gbps 対応機種に限る との事でした。対応とはどういう事か、1Gbps の装置でもオートネゴシエーションされて 1Gbps でリンクアップする訳だし…最大 10Gbps のインターフェイスを持っていないとダメなのか?と食い下がってみた所
10G対応機種につきましては、メーカーにて該当のルーターが【10G対応】と公表している機種になります。
対応機種は弊社では分かりかねますため、所有ルーターが対応品かの確認はメーカーへお願い致します。
と言う回答を頂きました。10G 出るか出ないかもあるかも知れないが、メーカーがサイトなどで 10G 対応と公表している機種が対応していると考える、と。もっと端的に言うと メーカーがフレッツ光クロス対応 と謳っている製品のみ認めると言う事かと、まぁ当然ですね。しかし市販の 1Gbps 製品で 10Gbps 回線となるフレッツ光クロス回線対応って記載する製品なんてある訳がないですよね。事実上の逃げ口上にも読めるなぁ…なんて思いながら JPNE の Web サイトを確認 してみました。
「v6 プラス」対応ホームゲートウェイ、「v6 プラス」対応ブロードバンドルーターは以下の機種になります。(2020 年 12 月現在 メーカー確認機種)「フレッツ光クロス」でのご利用可否については、各メーカーにお問い合せください。
こちらの記載では 10G 対応の目線ではなく v6 プラスに対応するかの目線でのリスト となっております。フレッツ光クロス対応(10Gbps インターフェイス対応)する機器は現在はまだ数も少ないしリストにはありません。またネゴシエーションは出来るので 1Gbps の機器で繋がらないわけでもないのですが、その事を 10G 対応と書いてしまうとよく解ってないユーザーが鵜呑みに 1Gbps の装置を買ってきて 10Gbps 出ないじゃないか! とクレーム入れてきても困りますものね。対応に苦慮している感じはありますね。
ISP さんとしても結局 JPNE さんに足回りを委託していて契約行為だけ行っている MVNO と同等の動きになるので、技術的な所は JPNE さんの記載と合致してれば良さそう。
メーカーに問い合わせ
フレッツ光クロスの 10Gbps 回線に 1Gbps のインターフェイスを持つ機器を用いたい、と言う明確な意思とともに回答をメーカーにお願いしてみました。今回は IX2207 を用いたいので NEC さん宛になります。NEC さんとしても 10Gbps の速度が出ない! などのトラブルには巻き込まれたくない筈なので、ちゃんと 10Gbps の回線に 1Gbps の装置を用いようとしていることを明記、10Gbps 回線速度が出ないことを理解した上での相談である事を強調し回答をお願いしました。
すると翌日には回答をいただけ、メーカーとして技術仕様上問題ないこと、正しくフレッツ光クロスに適用できることを回答頂くことが出来ました。 さらには設定例集に記載のどの設定を用いたら良いかなどとてもご丁寧な回答まで頂けました。有り難いです。 フレッツ光クロスは現在「ひかり電話」契約は出来ないですが XG-100NE の背面に電話様の MJ ポートがある通り、計画はされており今後ひかり電話契約も可能になる予定の様です。なので IPv6 配信も RA ではなく DHCPv6-PD で降ってくるんですよね。その辺りコメント頂けるのはとても良いと思いました。
どんな回答が欲しいのか、何をしようとしているのか、ちゃんと伝える。コミュニケーション大事ですね。
MAP-E 配信切り替え
メーカーさんからの回答を引用し ISP さんへ問題ないことをお伝えしたらその日のうちに配信設定を切り替えて頂けることが出来ました。
今後の動き
ひとまずこれでフレッツ光クロスの 10Gbps 回線に IX2207 と言う 1Gbps 対応のルータを接続し、安定的なネットワークを手に入れる事が出来ました。IX2207 は SNMP にも対応しているので動作監視も出来るので様々設定してみようと思います。
XG-100NE
しばらく安定運用を確認したら返却処理を行う予定。今後 Firmeware などがアップデートされて安定するのかも知れませんが、また設定を変更するのは手間ですし「安定するようになった!」と言われても当面疑心暗鬼になりながら使うことになるので、ちょっと使いたくないです。それよりは 10Gbps 対応のスモールオフィス向け製品がもう少し安価に出てきてくれる事に期待。現時点ではまだ 20 万円以上するのでちょっと手が出ないです。
フレッツ回線
一般家庭に 10Gbps が必要か?と言われるとまだ時期尚早かと思いますが、リッチコンテンツを WiFi6 ないしは更にその次の規格で無線伝送出来るようになった時に必要にはなってくるなと思います。その時期がいつになるかは判りませんが、我が家のライフスタイルであれば当面 1Gbps もあれば充分と感じているので、どこかのタイミングでフレッツ光ネクストに契約変更する事になるかな、と思います。
ちょっと面倒ですが。
その後の安定性
((2022.09.24 追記)) 2022.09.24 現在、とても通信は安定しています。1 年使ってみた、みたいな感じで記載しようかと思っていましたが夏休みで手が空いているいい時期だったのでちょっと早いですがどの位安定しているかについて。
12 月に切り替えたあと全く切れていないかと言うとそんな事は無いですが、あくまでフレッツの工事や ISP の工事などによる通信断のみとなっています。
Interface Tunnel0.0 is up
Fundamental MTU is 1460 octets
Current bandwidth 1G b/s, QoS is disabled
Datalink header cache type is ipv6-tunnel: 1/0 (standby/dynamic)
IPv4 subsystem connected, physical layer is up, 57d17h58m55s
Dialer auto-connect is enabled
Inbound call is enabled
Outbound call is enabled
Dial on demand restraint is disabled, 0 disconnect
SNMP MIB-2:
ifIndex is 913
Logical INTERFACE:
Elapsed time after clear counters 132d15h33m13s
1086554332 packets input, 854515532035 bytes, 0 errors
1086554332 unicasts, 0 non-unicasts, 0 unknown protos
0 drops, 0 misc errors
677846843 output requests, 396184112871 bytes, 0 errors
677846843 unicasts, 0 non-unicasts
0 overflows, 0 neighbor unreachable, 0 misc errors
2 link-up detected, 1 link-down detected
Encapsulation TUNNEL:
Tunnel mode is map-e
((中略))
Interface の状態を確認すると下記太字部分ですが 132 日以上 1 パケットのエラーも drop も無くとても安定して通信できている事を示しています。
Elapsed time after clear counters 132d15h33m13s
1086554332 packets input, 854515532035 bytes, 0 errors
0 drops, 0 misc errors
rspi-server:~ $ sudo ping -q -i 0.1 -c 100 8.8.8.8
PING 8.8.8.8 (8.8.8.8) 56(84) bytes of data.
--- 8.8.8.8 ping statistics ---
100 packets transmitted, 100 received, 0% packet loss, time 9976ms
rtt min/avg/max/mdev = 2.854/3.623/4.334/0.291 ms
ようやく民生品として BUFFALO WXR-6000AX12S など出てきましたし、価格も値下げされてフレッツ光 NEXT とほぼ変わらない価格となりました。いよいよ 10Gbps の時代が到来、って感じありますね。